拳の道

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・このSSはとらいあんぐるハート3の、晶シナリオのネタバレ……というかシナリオそのものを含みます。晶シナリオをクリアされてからお読みになることを強く推奨します。
・えーと……ギャグ……だと思うので、無茶な展開はご了承ください(爆)
・色々とごめんなさいごめんなさいごめんなさい。




    拳の道
      by Fangoln


六月十七日(土)早朝
 高町家 庭

 突然、晶から勝負を申し込まれた。
 いや……最近の晶の鍛錬を見ていれば、むしろ必然だったかもしれない。
 美由希もじっと、事の成り行きを見守っている。
 もう一人の立会人はレン。

「……禁じ手ナシの、一本勝負……」

 とん、とレンが縁側から降りる。

「もう、始まってます……」

 レンがそう言うより一瞬早く、晶がダッシュをかけて俺に襲いかかってきた。

「……ってえ!」

 ぶん、と晶が放った蹴りを下がってかわすが、前髪を跳ね飛ばすその鋭さは以前
とは比べものにならない。
 空手選手としては確かにハイレベルな技だ。
 だけど……。

「……抜かないんですか」
「……抜く必要があれば、抜くさ」

 あくまで空手選手としてである。
 無手でも十分に相手が出来ると思えた。今までの夜襲と同じように。

「はあああぁぁ!!」

 長く伸びる咆哮が晶の口から漏れる。
 だん、と鋭い踏み込みから、晶が連続攻撃を放つ。
 上下左右から襲いかかるその攻撃を流しつつ、反撃を入れていく。

「……つっ……はっ!」

 よほど集中力が高まっているのか。
 晶は俺の攻撃を、よくかわした。

「チャンスは一回だけ……晶……あんたならできるっ」

 レンの呟きが聞こえる。何か狙っていることがあるのだろうか。

「……てぇ!」

 どん、と晶が肩からの体当たりを打つ。
 俺はまともに食らったが……体重の差は大きい。
 反撃を入れるべく、俺は晶の頭上に肘を落とそうとした。
 その瞬間……

「昇○拳!」

 ずどん、と……。
 晶の拳が俺の顎にヒットした。
 零距離の技はないとタカをくくっていた俺にとって、完全な不意打ちだ。
 そのままはじき飛ばされ、地面に転がる。
 ふらふらと立ち上がりつつ、しかし俺は強く抗議した。

「待てーっ! ここは右膝の古傷に攻撃するんじゃなかったのかっ」
「何を言うんですか師匠! 空手家がそんな卑怯なことするわけないじゃないです
か」

 晶は俺の前で構えを取る。
 不思議に落ち着いた構え。

「っていうかそもそもその技は……」
「特訓したんですっ」
「特訓してできるものかっ」

 大体ゲームの技なんだぞ。

「『できっこない』って決めたらできることだってできなくなる。そう教えてくれ
たのは師匠ですっ!」

 ……その台詞に昔のことを思い出した。
 昔膝を壊してリハビリをしていた頃。
 その様子を見て『できるって決めたら、空でも飛べるのかよ!?』と噛み付いた
晶。
 そして一年後、よろよろとしてはいたものの刀を振る俺を見て、泣き出した晶。

『あたし……あたしにもできるかな……?』
『できるよ……その気になれば、空だって飛べる』
『波○拳は……』
『波○拳だって撃てる。……晶は……強い子だからな』

 あれ……? 波○拳なんて言ったか?

「波○拳!」

 だが確かに目の前に迫る気の塊。

「はっ!」

 辛うじて木刀ではじき飛ばす。
 が、思った以上の衝撃。
 木刀もはじき飛ばされてしまった。
 一瞬、拾いに行くか躊躇する。
 意識が分散する。いや、これ自体が作戦だったのか。

「……竜巻……」

 はっと気がつくと、晶が体を回しつつ、飛び込んでくる。
 ……まるで、空を飛ぶように。というか実際に重力に逆らって飛んでいる。
 ……だめだ……反応できな……

「旋○脚!」

 ずどん! と、晶の蹴りが、俺の側頭部にマトモにヒットした。
 周りが白く染まる。

「晶ぁ! いっけぇぇぇえええ!」

 レンが叫んでいる。

「師匠ーっ!」

 晶が『吼破』構えを取る。
 いや、違う。この構えは……。
 俺は防御すべく腕を上げようとした。
 ピヨピヨ。
 目の前をひよこが飛んでいる。
 ピヨってるーっ!

「俺! 師匠のすべてに憧れて、師匠のすべてを……目指したんだ!」

 俺を目指してなんでこんな技が身に付くっ!
 というツッコミも間に合わないっ!

「真・昇○拳ーっ!」

 ずん、どごっ、どげしっ!
 空高く飛ばされながら俺は思った。
『こんなの、もはや空手じゃない』
 と……。


 それから一年後……。
 あの勝負の後、御神流に入ることを断った晶は、明心館にもいとまを告げた。
 そして学校にも休学届けを出すと、旅に出てしまった。
 こんなメモだけ残して。

『俺より強いヤツに会いに行きます』

 俺はそれから美由希の鍛錬も放り出し、自分の特訓を開始した。
 晶を引き留めるには、晶以上に強くなるしかなさそうだからだ。
 そして今日。
 再び勝負の日を迎えた。
 雷鳴が轟く平原で相対する。

「師匠……行きますっ」
「今度は前のようにはいかんぞっ」

 そして……戦いが始まる。


〜終わり〜


解説、または後書き

 えーと……いきなりこんな話を思いついてしまいました。
 やっぱり空を飛ぶ、っていったら竜○旋○脚かス○ニ○グ○ード○ックですよね。
 というわけで、そそくさと退散……(^^;;


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