新婚旅行はカナダへ行こう! 〜離陸編〜

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   新婚旅行はカナダへ行こう!〜離陸編〜


「×□§☆○◎∞△▽…………」
「それではただいまよりこの飛行機は成田空港を離れ……」

 英語で、続いて日本語で。
 離陸のアナウンスが入るのを聞きながら、俺は飛行機の座席で固まっていた。

 席は窓際の隣同士。
 通路側に俺が座り、窓側に名雪を座らせた。

 最初は物珍しげにあたりを見回したりしてたが、エンジンの振動や音が伝わって
くると、嫌でも緊張が高まってくる。

「い、いよいよ離陸だぞ、名雪」
「うん、そうだね」
「お、俺がついてるから、大丈夫だぞ」
「祐一、声が震えてるよ」
「き、気のせいだ」

 何を隠そう、俺は飛行機に乗ったことがない。
 理屈では分かっていても、こんなでかい鉄の塊が飛ぶなんて、どうも信じ切れな
い。

 そんな俺を見て、名雪がクスっと笑う。
 しょうがないなあ、とでも思っているんだろう。

「大丈夫だよ〜、祐一」

 そういって、いつの間にか堅く握りしめていた俺の手を、両手で優しく包んでく
れる。

「わたしが守ってあげるよ」
「そ、それはありがたいけど……どうやって?」
「うーん……」

 本気で悩む名雪。
 たかがツッコミに本気にならなくても……。
 変わらないな、昔から。こういうところが。
 まぁそれが名雪のいいとこなんだけどな。

 突然、俺の首に手を伸ばした名雪が、俺の体を引き寄せる。

「うわっ」

 そのまま俺の頭を、柔らかい「何か」に押しつける。
 あ……気持ちいい……。

「祐一、どう?」

 響くように聞こえる名雪の声。

「わたしの音、聞こえる?」

 ドクン、ドクン。
 一定間隔で聞こえる、生命の音。
 理屈ではなく、安心できる音。
 体から緊張が抜けていくのが分かる。

「祐一……わたし、あまり頭は良くないけど、でも、これだけは言えるよ」
「祐一がわたしのことを守ってくれるなら、わたしは祐一のことを支えるよ」
「頼りならないかもしれないけど、でも……」
「祐一のことが、好きだから」

 頭を動かし、下から名雪の顔を見上げる。
 穏やかに、微笑んでいる。頬がちょっと赤いけど。

「ずいぶんと恥ずかしいことを言ってるぞ」
「うー、ひどいよ祐一」

 抗議の声をあげかける名雪。
 素早く身を起こし、頬に唇を寄せる。

「え……?」

 とたんに真っ赤に染まる名雪の顔。

「お礼だよ。……足りなかったか?」
「えーと……十分、だよ、……お釣りが必要、かな……」

 そして再び近づく二人の顔……

「ק☆◎△▽!」

 突然上から降りかかる声。
 あわてて身を離す二人。
 見上げると、金髪のスチュワーデス。

「Fasten your sheat belt!」

 身振りで、何かをくっつける仕草をする。
 あわててシートベルトを締める、俺と名雪。

「Good! Have a nice trip!」

 そういってウインクして去ってゆく。

「見られた、のかな?」
「見られた、みたいだな」

 二人して真っ赤な顔で、うつむく。

 飛行機が離陸したのは、その数分後のことであった。


-終-


解説、または後書き

 飛行機には乗ったのに……のに……なんで離陸してないんだぁ(爆)

 いえ、前回名雪を守ろうとする祐一を書いたので、今回はその逆を書きたかった
のです。

 ちょっとらぶらぶなのは押さえ気味になってしまったのが、心残りですが……。

 というわけで、次回こそはちゃんと先に進んで欲しい物です。いや、ほんと。

 一応解説など……
 とはいっても……。
 飛行機に乗ったらシートベルトを締めましょう(爆)
 特に離陸時に締めてないと、祐一達みたいにスチュワーデスに注意されます(笑)


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