新婚旅行はカナダへ行こう! 〜空港編〜

 初出:1999/10/06 Key SS掲示板 No.20572

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   新婚旅行はカナダへ行こう!〜空港編〜


「「お疲れさまぁ」」

 二人の声が重なり、ジョッキがカチンと触れ合う。
 一呼吸空き……。

「ふぅ、労働の後のビールは美味しいなぁ」
「祐一……おじさんみたいだよ」
「20歳にもなれば、おじさんだ」
「じゃあわたしは、おばさんなの?」
「いや、真剣に悩まれても困るんだけど……」

 ここは成田空港のレストラン。
 披露宴の後、みんなの冷やかしを受けつつ旅立った俺と名雪は、紆余曲折を経て
なんとか成田空港にたどり着いたのであった。

 荷物のチェックインも出国審査も、TCATってとこで終わってるんで、後は飛行機
に乗るだけだ。
 時間も十分にあるんで、こうしてレストランで労働の後の一杯を楽しんでる、って
わけだ。

 労働?
 そう労働だったよ(遠い目)

「でも、ここに来るだけでも一苦労だったよねぇ」

 おい名雪、それは自覚があっての発言か?

「ああ。ウェディングドレスのまま眠りこけるお前を起こすのは大変だったなぁ」
「えーと」
「二人分の荷物と眠ったお前を抱えて、電車の乗り換えに走るのも大変だったよ」
「うう」
「電車の中では、寝ぼけて俺に抱きついてくるし」
「うー」
「おまけに、『祐一はわたしのものだおー』なんて寝言を言ってくれるし」
「わ、わたし、そんな恥ずかしいこと、言ってたの?」

 お、さすがにここまでくると動揺するか。

「ああ、周りの連中にも聞こえたみたいだったな。視線の厳しいことっていった
ら……」
「うー、恥ずかしいよぉ」

 顔を真っ赤にして、テーブルに突っ伏す名雪。
 そんな名雪が愛おしくて。

「でも、俺は嬉しかったよ」

 そういいながら、名雪の頭をなでてやる。
 ちょっとだけ顔を上げる名雪。

「好きな女の子に、わたしのものだ、なんて言って貰えたんだからな」

 上目遣いで俺をみる名雪。

「祐一……恥ずかしいこと言ってない?」
「いや、気のせいだ」
「うー、そうかな」
「じゃあ、もっと恥ずかしいことを言ってやろうか」
「え、いいよー、そんなの……」

 あわてる名雪を無視して、言葉を探す俺。

「……この旅行中、夜は寝かさない、ってのはどうだ」
「えーと、それって……つまり……」
「いやほら、あの、秋子さんも『旅行中に頑張れ』って言ってたし……」

 多分俺の顔は真っ赤だろう。慣れないことはいうもんじゃないな。

「祐一、本当に恥ずかしいことだよ〜」

 言い返す名雪の顔は、前にも増して赤い。

「でも……」

 そんな真っ赤な顔をまっすぐこっちに向けて。俺の目をしっかりと見て。

「よろしくお願いします、だよ」

 そして悪戯っぽく笑う。

「頑張ってね、祐一」

 ひょっとして俺は……とんでもない約束をしてしまったんじゃないだろうか。

 その結果は、数日後に明らかになるのであった。


-終-


解説、または後書き

 ……カナダに辿り着くどころか、飛行機にも乗ってませんね。
 どうしましょう(笑)

 で、一応用語解説(笑)
 TCATは東京シティーエアターミナル、のことで、チケットを持っていれば、ここ
で荷物のチェックインとか、出国審査が受けられます。
 これらを成田空港でやろうとすると、場合によってはすっごく並んだりするんで、
TCATで済ましてしまうと、後でかなり時間に余裕ができます。
 物語の中の祐一と名雪のように、飛行機への搭乗が始まる直前まで、お酒を飲ん
で優雅に待つのも可能になります。

 という、まぁ体験談ですね(笑)
 僕の時は、男三人仕事の話をしてましたけど(爆)


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