美坂姉妹の想い(改訂版)

【火曜日・一】

 初出:1999/08/08 Key SS掲示板No.8813 & No.8815
 改訂:2001/11/18

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「今まで済まなかったな」
 六時間目も終わり、早くも放課後。俺は帰ろうとしていた北川と香里を呼び止め、こう切り出した。
「一体どうしたの、突然」
「いや……今まで迷惑かけてたしな。一言礼を言っとこうと思って」
 真琴が消えてから昨日まで、俺はかなりダメな人間になっていた。けど、そんな俺を支えてくれたのが、こいつらと名雪と天野だ。
 そして俺は昨日、真琴と再会した。余裕が出てくると、今までいかにみんなに迷惑をかけてたか、ってのも見えてくる。
「みずくさいぜ。オレとお前の仲じゃないか」
「……どんな仲だって?」
「これまでのことを、Aランチ一回でチャラにしてやるような仲だ」
 俺は黙って右手を差し出す。北川も黙ってそれを握り返す。いいヤツである。
「ふふふっ、ねぇ、あたしはどうなるの」
「百花屋で、イチゴサンデーでどうだ」
「ずいぶんと安いのね」
「う、名雪だったらこれでオッケーなのに」
「……二人とも、もしかしてすっごくひどいこと言ってる?」
「いや、気のせいだ」
「気のせいよ」
 そしてみんなで笑い合う。昨日まではできなかったことだ。
「で、みんなには一応事情を説明しておきたいんだ。これから時間、いいか?」
「ああ、いいぜ」
「いいわ……帰りたくないし……」
 香里が不意に悲しそうに呟く。後半が、よく聞き取れなかった。
「ん、なんか言ったか?」
「ううん、なんでもないわ」
 そう言ったときには、もういつもの顔に戻っている。気のせいか……?
「じゃあ百花屋にでもいこうか」
「ここじゃあダメなのか?」
「ああ、あと一人呼んでるんだ。今回の原因を」

 その一人は、校門で俺達のことを待っていた。紺のGジャンに、黒っぽいミニスカート。そしてなにより、狐の耳に、狐のしっぽ。言うまでもなく真琴である。……もちろん、目立っている。他の生徒も、みんなちらちら真琴を見ながら校門を通過していく。そんな視線を受けつつも所在なげにしっぽを揺らして、俺達のことを待っている。
「……あの尻尾、よくできてるわねぇ、本物みたい……」
「……猫耳バンド、可愛いわねぇ……」
 そんな声が聞こえてくる。さすがに本物と思うヤツはいないようだ。と、不安そうだった真琴の顔がいきなり笑顔になる。
「あ、祐一っ、名雪っ、お帰りっ!」
 俺達の姿を認めたのだろう。叫ぶなり、いきなり抱きついてきた。
「わぁ! 人前で抱きつくな!」
 ……さっきより目立っている。
「駄目だよ真琴、祐一困ってるよ」
「えー、だってー」
「そうだそうだ、もっと言ってやれ」
「そのかわり、夜に甘えればいいよ」
「そっか。夜ならずーっと祐一と一緒だもんね」
 ぐあ……おまえら、なんつーことを……。ふつーこの台詞を聞いたヤツは、みんな勘違いするぞ。……っていうか、みんな聞き耳を立ててるし。あ……香里と北川はちゃっかり他人の振りしてやがる。
「昨日もね、ずぅーっと祐一と一緒だったんだよ」
「わぁ、そうなんだ。よかったねぇ」
「うん! 祐一、とっても優しかったよ」
 あ、あそこに鼻血垂らしてるヤツがいる……。想像力が豊かすぎるのも考え物だな……。
 ってそうじゃなくて!
「いい加減にしろ! みんな勘違いしてるじゃないか!」
「あぅー、でも本当のことじゃないのよー」
 これ以上ここにいると、どんな噂が立つかわかったもんじゃない。仕方ない、実力行使だ。狐の耳をぎゅと引っ張る。
「あうー! 痛いよぉ!」
「自業自得だ。さ、いくぞ」
「あうっ、あうっ、あぅっ」
 そのまま百花屋目指して歩き出す。後ろに名雪が、なぜか笑みを浮かべたままついてくる。香里と北川も、頭の上に疑問符を浮かべて、ついてくるのであった。

 百花屋の一番奥、他の席からは死角になる空間。店員に案内されたのは都合のいいことに、そんなところにある席だった。みんな注文を済ませ、一息つく。
「さて……何から説明しようか」
「まずはその子のことを紹介してくれよ」
「そうだな。おい、自己紹介だ」
 ぽん、と真琴の頭に手を乗せて促す。
「あぅ、えと、沢渡真琴……です。よろしく……」
「美坂香里よ。よろしくね」
「北川潤だ。よろしくな、真琴ちゃん」
 ? 北川のヤツ、ウインクまでしてやがる。どーいうつもりだ?
「それで、相沢君とその子と、どういう関係なの?」
「その子、じゃなくて、真琴、だよ、香里。真琴は……ここにいることがまず奇跡なのかな」
「ああ、そうだな。まずここにいること自体が奇跡だ」
「二人とも」
 奇跡、という言葉を聞いたとたん、香里の表情がこわばる。何か嫌な事を思い出したように。
「奇跡ってね、そんな簡単に起こるものじゃないのよ」
 以前、登校中にも言われた台詞。あの時は確かに俺達は奇跡を知らなかった。しかし今は……。
「よく分かってる。だから、これは奇跡なんだよ」
「どういうこと?」
「今から説明してやる。文句があるなら、それからだ」
 そして俺は説明を始めた。昔飼っていた狐のこと。最近になって突然現れた、記憶喪失の女の子のこと。日々のいたずら。その正体。徐々に人間らしさを失っている真琴。そして別れ。
「あの後の俺は、抜け殻のようだった……。真琴のことを、忘れてしまいたかった。そうすれば楽になれるとも思った……。
 だけど……忘れるなんてことできなかった……。俺はこいつのことが、本当に好きみたいだから……」
 不意に手が温もりに包まれる。真琴が微笑んで、俺の手を握ってくれている。俺もその手をそっと包んでやり、説明を続ける。
 なんとか日常生活に復帰できたこと。昨日の天野との会話。そしてものみの丘での再会。
「だから真琴のしっぽと耳、これは作り物なんかじゃなくて、本物だ」
「じゃぁ……真琴ちゃんって……本物の獣娘?」
「なんだその獣娘ってのは! でもまぁ言いたいことはわかる。そういうことになるな」
「……いいなぁ……」
 北川のそんな呟きをあえて無視し、香里の方に向き直る。
「こんなところだ。なんかあるか?」
 けど反応がない。手元のオレンジジュースを意味もなくかき回している。そして遙か遠くを見ているかのような瞳。
「おい、香里。……香里!」
「あ……え、なに?」
「なに、じゃねぇよ。何か文句とかあるんじゃないのか?」
「ううん……。奇跡があることは……よくわかったわ……だから……」
 思い詰めたような……おびえた子羊のような……懺悔をする罪人のような……。そんな香里に似合わない表情を浮かべている。他の連中も不審に思ったのだろう。じっと香里を見つめている。
 一分近くの沈黙の後、再び口を開いた。
「あたしの話も……聞いてくれないかしら」
「…………」
「奇跡を信じられなかった、愚か者の話よ……」
「……ああ。それで香里が楽になるんなら」
「ありがと……」
 そして軽く目をつぶり上を向く。話すことをまとめているようだ。そして、目をつぶったまま、話し始めた。
「相沢君、覚えてる? 二月の半ばに中庭であった女の子のこと」
「ああ……そういえばそんなこともあったな」
 その後真琴のことがあったんで忘れてたが、確かに中庭で奇妙な女の子と二、三回会ったことがある。名前は確か……。
「確か……栞、って名前だったかな。名字は……」
「美坂、よ。美坂栞。あたしの妹よ」
「えー、わたし、初耳だよ、香里に妹がいるなんて」
 名雪が驚きの声をあげる。が、香里はそれを無視し、話を続ける。
「あの子、生まれつき体が弱いのよ」
「それは知ってる。だから、ずっと学校に来ることができなかったんだろ?」
 ふいに香里は閉じていた目を開き、遠くを見る。微笑みを浮かべて。
「あの子、楽しみにしてたのよ。
 あたしと一緒に、あたしと同じ学校に通って……そして、一緒にお昼ご飯を食べる……そんな、本当に些細なことを……あの子は、ずっと切望していたの……。
 そして……もう永遠に叶わなくなってしまった──」
 さっきまでと同じ口調だった。だから……香里の言葉の意味が分からなかった。
「……どういうことだ」
「言葉通りよ」
 俺の言葉を待っていたかのように、呟く。
「あの子は、今入院しているわ。そして眠り続けている……あの子の誕生日から」
 俺は思いだしていた。栞の明るい表情、元気な仕草、そして、雪のように白い肌……。
「もともとあの子は、長くは生きられないって言われてたわ。でも、最近は体調も少しだけ持ち直していた。だから、体力のあるうちに手術を受けることにした。危険な手術を……。
 成功すれば根本的に治癒するはずだった。でも……栞は……」
 頭の中の栞の姿が、セピア色にかすんでいくような錯覚。そんなイメージを振り払い、香里に訪ねる。
「その手術の成功率は、どんなもんだったんだ?」
「成功したら奇跡だと言われたわ」
「……そのことを、栞は知ってたのか?」
「知ってたわ」
「……いつから知ってたんだ……栞は」
「最初から……」
 どこか懐かしそうな表情で。
「去年のクリスマスの日に、医者からあたしたち家族にこの話があったわ……」
 何かを思い出すような表情で。
「『起きないから、奇跡って言うんですよね。でも、それを怖がってたら、何もできないじゃないですか』」
 何かをこらえるような表情で。
「みんなから反対された時の、あの子の台詞よ」
 そして不意に、抑えていた感情が流れ出る。いつも気丈にふるまっていた香里の姿は、そこにはなかった。
「でも……あたしには奇跡は信じられなかった。
 あたし、あの子のこと見ないようにしてた。自分の不安を隠して健気に振る舞うあの子を、これ以上見ていたくなかった。
 いなくなるって……もうすぐあたしの前からいなくなるんだって、分かってるからっ……」
 店内の喧噪の中、俺達の周りだけ、静寂が支配している。真琴も名雪も北川も、神妙な面もちで見守っている。
「普通に接することなんてできなかった……だから……あの子のこと避けて……。
 妹なんか最初からいなかったらって……こんなに辛いのなら……最初から……最初からいなかったら、こんなに悲しい思いをすることもなかったのに……」
 香里の嗚咽が、皆の心に響いていた。流れる涙を拭うこともなく、ただじっと泣き崩れる。妹の前では、決して見せることのなかったであろう姉の涙。
「手術はあの子の誕生日に行われたわ……。失敗はしなかったわ……でも……成功もしなかった……。
 手術の後から、ずっと眠っている……もう一ヶ月以上も……。もう一度あの子が目を開けるのは……やっぱり奇跡が必要だって……。
 ……相沢君。
 なんであなた達には奇跡が起きて……あの子には起きなかったの。
 なんで……」
 涙で輝く瞳で俺と真琴を見る。まるで……羨んでいるように。恨んででもいるように。諦めているように。
「それは……」
「あぅ……」
 俺達にも答えはない。慰めの言葉もない。何を言えばいいっていうんだっ。思わず真琴と重ねた手を握りしめる。けどもちろん、答えなんて出てこない。
 ところが、救いの手は思わぬ方向から差し伸べられた。
「オレが答えてもいいか?」
「北川君……?」
 北川は真剣な眼差しで香里のことを見つめると、おもむろに断定した。
「原因は美坂……お前だよ」
「どうしてよ!」
 語気を強め、北川を睨み付ける香里。
 だがそれを睨み返し、言葉を続ける。
「相沢は逃げなかった。だけど美坂、お前は逃げたじゃないか」
「え?」
「さっきの相沢の話……。真琴ちゃんが一度消える前も、消えた後も、相沢はその現実から逃げなかった。ずっと、真琴ちゃんのことを想っていた」
「…………」
「でも美坂、お前は栞ちゃんがいなくなる、って現実を否定して逃げた」
 ビクっと体を震わせる香里。言い返す言葉にも力がない。
「そ、それが奇跡と、どう関係があるのよ」
「これはオレの意見だけどな……」
 真摯な瞳で香里をみつめる北川。
「奇跡なんてのは、やるべき事をすべてやった人間が、最後にその想いを託すもんだ。偶然起きるもんじゃない」
 そうか……。
 俺は結局真琴のことを諦めなかった。
 だからこそ、奇跡は起きた。
「美坂、出来ることをすべてやったって、言い切れるか? 栞ちゃんのために、お前は何をしてやった?」
「北川君、言い過ぎだよ。香里だって辛かったんだよ」
 だが名雪のそんな慰めも届かないように、香里は呆然としている。
「そんな……あたし……あたしの……せいなの?」
 そんな香里を見つめる北川。
 一瞬顔に浮かんだのは……後悔?
 だが突然伝票を握ると、席を立つ。
「よし、じゃあ今から病院に行くぞ」
「……病院?」
「栞ちゃんの入院してる病院だよ」
「でも、眠ってるんだよ?」
「だから起こしてやるんだよ、オレ達で」
「栞を起こそうっていうのか? でも奇跡が必要なんだぜ?」
 俺の問いに、笑って……だけどきっぱりと答える北川。
「それなら、奇跡を起こすだけだ」
 絶対に奇跡を起こせる、と信じているような瞳。信じるに十分足るような……。
「そうだよ。まず、わたしたちが出来ることから始めないと、駄目だよね」
「何が出来るか分かんないけど、真琴も頑張るよっ」
「そうだな。まず見舞いからだな」
 突然の展開にとまどっている香里に、北川が手を差し出す。
「さぁ、行こう。美坂がいなくちゃ始まらないからな」
「え、でも、あたし……」
「何だ、まだ迷ってるのか」
「あたしが行ってもいいの? あんなにあの子に酷いことをしたあたしが……」
「美坂……」
 北川が不意に優しげな表情で、香里のことを見つめる。
「栞ちゃんのことが好きなんだろ」
「ええ、そうよ、あの子の……可愛い妹の栞のことが好きよ」
「その想いがあれば十分さ。さ、行こう」
 皆で出口に向かう。
「北川君……みんな……ありがとう……」
 一番後ろを歩く香里の呟きが微かに聞こえた。

 駅前の総合病院。その一室に俺達はいる。ベッドが一つに、大袈裟な機械。その機械が出す単調な音の他には、何も聞こえない。
 ベッドの上には一人の少女。僅かに上下する胸がまだ生きているのだと言うことを主張しているが、それは目を背けたくなるほど弱々しい。
 栞──。
「…………」
 誰も話さない。ただ、ベッドの上で寝ている少女を見つめるだけ。もうこのまま、一時間は経とうとしている。そろそろ夕方だ。赤い光が、この白い病室も赤く染め上げようとしている。
 あまりにも重い雰囲気に耐えきれず、小声で真琴に話しかけた。
「なぁ、何か判ったりしないのか?」
「何かって……何?」
「いやその……だから何か、だよ」
「あぅーっ、わけ分かんないこと言わないでよぅ」
 拗ねたように頬を膨らます真琴。
 香里はそんなやりとりにも全く加わろうとせず、じっと栞を見つめている。部屋に入った時から、ずっとそのままだ。
「今日は……そろそろ帰ろうか」
「もう少し……もう少し、ここに居させて」
 栞の方を向いたまま、振り返りもせずに答える香里。そんな香里の肩を叩き、北川は言葉を続けた。
「大丈夫だって、また明日も来ればいいさ。それにどちらかというと美坂、お前の方が顔色悪いぞ」
 確かにこの夕日の中にいても、顔色が白く見える。おそらくこの一ヶ月程、心も体も休まっていないのだろう。
「見舞いに来たやつが倒れちゃったら、意味がないだろ」
「……ええ……そうね。……栞、また明日来るからね」
「じゃあね、栞ちゃん。ふぁいと、だよ」
「明日はバニラアイス、買ってきてやるからな」
「栞も帰っておいでよ、真琴も応援してるよ」
 それぞれ言葉をかけながらベッドから離れる。
 が、その時。
「あぅーっ!」
「どうした、真琴?」
「何かにしっぽが引っかかって……あーっ!」
 叫び声とともに振り返る俺達。
 そして、見た。
 小さな手が、確かに真琴のしっぽを握っているのを。
「栞!」
 ベッドの側にとって返し、すぐ脇にひざまづく香里。
「栞……栞!」
 囁くように……語りかけるように名前を呼ぶ。そして、この一ヶ月、閉じられたままの目が開かれる。
「あ、私……ここは……お姉ちゃん……」
「栞……」
 恐れるように名前を呼ぶ。だがしかし、栞は微笑みを浮かべて答えた。
「はい、お姉ちゃん。私……私帰ってきました。大好きな……本当に大好きなお姉ちゃんのところへ……」
「栞……許して……くれるの」
「私は最初から、お姉ちゃんのこと、嫌いになんかなってませんよ」
「し……お……り……」
「おねえ……ちゃん……」
 泣き出してしまった姉妹を残し、俺達は部屋を出た。栞が目覚めたことを医者に知らせるために。

 駅前の総合病院、その一室。だが昨日とは違い、今日は明るい笑い声が満ちている。
 栞の目覚めた次の日、俺達はまた病院に来ていた。今度は見舞いの品をたくさん買っての、お見舞いだ。もっとも、見舞いの品の半分はバニラアイスだけど。
「──ということが、夢の中であったんですよ」
「へぇ、天使様、ねぇ」
 そして今は栞が目覚める直前に見た、という夢の話を聞いていたところだ。なんでも天使が出てきて、目覚めへと導いたらしい。
 さっき医者に聞いた話だと、病気の方はもう直った状態だそうだ。後は、一ヶ月眠ってた後遺症が取れれば、退院できるらしい。けど眠りから覚めた原因は、医者も分からなかったようだ。首をひねって、「奇跡でも起きたとしか考えられない」と言ってた。それを聞いた北川は、「いいえ、奇跡を起こしたんですよ」と言ってたっけ。
「でも、結局夢なんだろ?」
「そんなこという人、嫌いです」
「あぅー、でもその天使様って、真琴も見た気がする」
 バニラアイスのお相伴にあずかって木のヘラを口にくわえながら、そんなことを言う。
「羽も見た気がするし、『祐一君によろしく』って、聞いた気がするー」
「そういえばそんなこと言ってたな……。でも天使に知り合いなんていないぞ」
「誰だかわかったら教えて頂戴。なにしろ栞の命の恩人なんだから」
 栞にバニラアイスを食べさせながら、香里が言った。ちなみに香里は今日、学校を休んだ。今日一日は栞の世話をする、と聞かなかったらしい。
「美坂……お前なんか変わったな」
「そんなことないわ。元に戻っただけ、よ」
「うん、やっぱり美坂はそんな笑顔の方が似合ってるよ」
 確かに。昨日の美坂は何ていうか……見てて悲壮だったからな。
「な……ちょっと何いうのよ北川君!」
「香里、顔真っ赤だよ」
 顔を赤く染める香里ってのも、なかなか新鮮でいいな。確かにそういう顔をするって事が、変わったってことなんだろうな。
「えーと、何故だか熱くなってきました」
「栞……もう食べたくないのね、アイス」
「わぁ、そんなこというお姉ちゃん、嫌いです」
 栞お得意の台詞が飛び出し、みんなで笑い合う。幸せっていいな。そうしみじみと思いながら。

 それにしても……天使とは一体……?


−終−


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