ねこまっしぐら♪ <2>

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「水瀬先輩の家に行くのなんて久しぶり〜」
「栞さん…授業はよろしいのですか?」
「美汐ちゃんについていった方が面白そうだったから♪」
「はぁ…別にいいですけど。では行きますか」
「秋子さん、居るといいね〜」

〜20分後よっ♪(by真琴)〜

「…と、言うわけで御相談に来たという次第です」
「そう、名雪のために悪いわね」
「そんなことはないです。私が勝手に…」
「まぁ、そういうことなら…ちょっと待ってて下さいね」

「こんな物があるのだけど。いつか使おうと思って作ってみたの」
「これ…ですか?」
「ちゃんとみんなの分もあるわよ」
「じゃあ、私はこれがいいです♪」
「栞ちゃんはそれね。美汐ちゃんは、これなんてどうかしら?」
「これ…ですか?」
「ねぇねぇ、真琴のもある?」
「もちろんあるわよ、真琴はこれね」
「うん♪」


「なかなか似合うわよ」
「…複雑な気分です」
「へへっ、どうですか? 似合います〜?」
「あははっ、これで祐一もイチコロね♪」

「あれ? これって…・」



〜〜ねこまっしぐら♪ <2>〜〜

「遅すぎるわ…」

 一番初めに痺れを切らしたのは、意外なことに香里だった。

「まだ5分しか経ってないだろ?」
「だって、いつもならチャイムが鳴ったらすぐに来るじゃない!」
「2人とも来ないって言うのも変だよね」
「腹減ったな…」

 今は昼休み。俺達はいつも通りに2人が弁当を持ってくるのを待っていた。
 天野は名雪に(ついでに俺)、栞は香里に(同じくついでに北川に)弁当を作ってく
るのが日課になっていたからだ。
 と言うわけで、いつも通り教室で待っているのだが、いつもならすぐに来るはず
の2人が来ない。

「もしかしたら事故にでも遭ったんじゃ…」

 香里が不吉なことを言う。

「日直だからって1人で先に行かせたりなんかしたから…」
「あのな…それだったら授業中に連絡が来るって」
「そ、そうよね…私ったら…」
「でも何か用事があるんなら私達に言ってから行くと思うし」

 名雪がもっともなことを言う。栞ならともかく(失礼)、天野がなにも言わないで
姿を消すというのは考えにくい。



「3人とも、そろそろお昼にしましょうか」
「は〜い、ごっはん〜ごっはん〜♪」
「そうですね……あっ!」
「美汐ちゃん、どうしたの?」

「先輩たちの昼食のことを忘れてました…」
「そういえば私も…」


「まぁ、過ぎたことは仕方ないわね。食堂もあることだし大丈夫よ」
「そうですね…」




「どう考えてもおかしいわ! やっぱり何かあったのよ!」
「15分たっても音沙汰が無いなんて…」

 ここまで来ると確かにおかしい。もしかして本当に何かあったのかもしれない。
 
(さて、どうしたものか…)

 ひとりで思案していると、いきなり香里が立ち上がった。

「もしかして、また写真部の輩が!?」
「写真部?」
「こうしちゃいられないわ! 名雪、行くわよ!!」
「えっ? ちょっと香里…」
「いいからはやく! こうしてる間にも2人がどんな目に遭っているか…!」

 ガシャン!!バタバタバタ・・・・・

 香里は俺の問いにも答えずに名雪を引っ張って教室を駆け出していってしまった。
 運の悪いことに、ドアの前に立っていた斎藤を弾き飛ばして…

(斎藤…哀れな奴…)

 それはさておき。

「北川、写真部って…何かあったのか?」
「あれ? 知らなかったか?」
「初耳だ」
「今学期の初めくらいのことなんだが…」

 ちょうどその頃は真琴のことで色々とあったからな、学校での出来事に頭がいか
なかったのだろう。

「生徒会の久瀬って知ってるか?」
「いや、知らないな」
「良いとこの坊ちゃんで写真部の部長もやってるらしいんだが、こいつが美坂を良
く思っていなくてな」
「そりゃまたどうしてだ?」
「美坂がいると万年2位だからな、去年同じクラスだったときから目の敵にされて
たそうだ」
「なるほど」

 典型的な「逆恨み」ってやつだな。

「それでだ、こないだ…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『やあ美坂君、わざわざご足労頂いてすまないね』
『そう思うなら自分で来れば良いじゃない?』
『……まあいい、君に来てもらったのは他でもない、この写真を見て欲しくてね』
『写真?』
『うちの後輩が撮ってきたものなんだがね』

『あら、栞と天野さんじゃない♪』
『見てもらえればわかると思うんだが…』
『…やっぱり栞は可愛いわぁ…』
『神聖な学校内でこのような…』
『それにしても天野さん…なんて羨ましい…』

『美坂君? 聞いてるのかい?』

『へっ? いやちっとも。んで、いくらで売ってくれるわけ?この写真』
『いや、そういう用件で呼んだ訳じゃなくて…』
『じゃあ何よ。はっきりしないわねぇ』
『ぐっ…じゃあもう1度はっきりと言わせてもらおう』

『確かに君の妹の栞君…だったかな? は優秀なのかも知れないが、教室でこのよ
うな異常とも取れるような行動をしているのを生徒会としては見過ごすわけにはい
かないわけだ』

『…………………』

『やはり、学業が多少優秀だったとしても、人格形成の面で難があった人物を進級
させてしまったのは問題があったのかもしれないね。まぁこうなってくると、本当
にあの成績が実力に拠るものなのかも疑わしく………………………』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「で? 続きは?」
「そこで終わりだ。全治3日間、室内のものを手当たり次第たたきつけた挙句、顔
面張り飛ばして帰ってきた」

 香里ってそんなに過激だったか?
 人間、ちょっとしたきっかけで変わるものなんだなぁ…

「でも、そんな事やって何の処分も無かったのか?」
「けっきょくのところ、奴の個人的な行動だったらしいからな。むこうとしても『大
の男が女に叩きのめされた』なんてのは体裁が悪かったんだろ」
「確かにいきなりのこととはいえ、情けないものがあるな」
「結局は壊した物の修理費と現像代でかたがついたらしい」
「現像代?」

 俺が聞くと北川は胸ポケットから1枚の写真を取り出した。

「例の写真だ。ネガと一緒に奪ってきたらしい。焼き増ししてもらった」
「どれどれ」

 教室の窓際で天野が栞を抱き寄せて昼寝をしていた。前に真琴にやっていたのと
同じ構図だ。
 確かに見ようによっては怪しく見えるかもしれない……しかし…

 か、可愛すぎ!!

「焼き増しは誰に言えばいい!?」
「美坂に言ってくれ(にやり)」
「了解だ、親友!」

 2人で顔を見合わせてにやりと笑う。端から見ると怖いかも知れないな…


  バタバタバタ…ガラッ!!

「いなかったわ…」
「2人ともただいま〜」

 そうこうしているうちに2人が帰ってきた。急いで来たせいか香里の息が上がっ
ている。名雪が割合平気そうなのは陸上部のおかげだな。

「香里ったら凄いんだよ、生徒会室に入っていきなり久瀬君締め上げちゃって…」
「ああいった輩は口より体に聞くほうが手っ取り早いのよ」

 おいおい…
 生徒会室での様子を想像して怖くなる。
 隣の北川は何故か平気な顔をしているが。

「北川…こんな香里でも好きなのか…?」
「愚問だな、こういう香里も十分に好きだぞ」

 実はたいした奴だったんだな、おまえ。

「相沢君、何か言った?」
「ナンデモゴザイマセン、カオリサン」
「祐一、メカメカしいよ…」


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