ささやかな決意

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一応真琴END後の話ということで……
(注意!)ネタばれあります。

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 夢
 夢を見ていた
 昔の夢
 「あの子」がいた頃の
 私の時間はあの頃から止まったままだった
 でも今は……



       『ささやかな決意』





「今日も相沢さんの家へお邪魔してよろしいですか?」

 ある日の放課後、天野が言った。

「どうせ明日は休みですし……」

 季節は春。そろそろ雪も溶け始め、気温も暖かくなってきている。
 そして、真琴が再び俺の元へ帰ってきてからもう数週間が経っていた……

「ああ、別にいいぞ。真琴が喜ぶ。それに秋子さんと名雪もお前の事気に入ってる
ようだしな」

 真琴が消えてから、天野と2人で話をすることが多くなった。
 あの時は1人でいるより2人の方が安心できたし、なにより俺が明るく振舞うこ
とで天野も少しずつではあるが、笑うことが多くなっていくような気がしたからだ。
 そして、真琴が帰ってきてからは、天野は頻繁に水瀬家へ遊びに来るようになっ
ていた。

「本当ですか?」

 少し不安そうに聞いてくる。

「本当だ。名雪なんて『可愛い後輩ができてうれしい』って言ってたぞ」

 嘘ではない、確かに初めのうちは挨拶をするくらいで特にコミュニケーションが
無かったが、最近は結構水瀬家になじんできている。
 真琴がいないときは母娘と3人で談笑しているようだし、遊びに来るときは夕食
を食べてから帰るようになった。

「そう……ですか」

 相変わらず無表情に見えるが、実際は照れているのだろう。
 数ヶ月も顔を付き合わせているとその微妙な変化が良く分かってきて面白い。

(まあ、今までそういう知り合いがいなかったんだろうな……)

 無理もない。俺だってもし天野がいなかったらどうなっていたか分からない。

(天野にも絶対幸せになってもらわないとな……)

 そのためには協力は惜しまないつもりだ。



「そういえばさ」
「なんですか?」
「天野、最近なんだか明るくなってきたな」
「自分では良く分かりませんが、きっと真琴と相沢さん達のおかげですよ」
「まあ、こっちも世話になったからな」
「私がいつまでも、このままじゃ『あの子』を悲しむでしょうし……それに私最
近……」

 そこで慌てて口を噤む。


 もしかして……


「好きな奴でも出来たのか?」
「それは……その……」

 カマをかけてみるとやはり図星のようだ。

(天野も年頃の女の子なんだな、それにしても一体どこの馬の骨が天野に!?)

 なぜか父親の心境になる俺。


 しかしここで詮索するのも酷だろう。

 
「まあ、話したくなったら言ってくれ」
「…………」





 そのままお互い無言で歩いていると天野が話しかけてきた。

「相沢さん、真琴の名前の由来はなんですか?」

 別に隠すことでもないので答える。

「昔あいつを拾ったときにあこがれてた人の名前だよ。俺が言ってたのを覚えてた
んだろうな」
「『あの子』もそうでした」
「そうか……みんな結構同じようなものなんだな」
「その憧れの人はいまどうしているんです?」
「さあ? わからないな、昔のことだから顔も覚えてないし。そっちはどうなん
だ?」
「私は……少し前、久しぶりにその方に会いました。話をしたのは初めてでしたけ
ど」


 そういうことか……


「奥手なのは昔からなんだな」
「はい……色恋沙汰は苦手なので。でもがんばってみようと思います。」
「人それぞれだからな、まあ俺に出来ることなら手助けはしてやるぞ。できること
があれば、だけどな」

 人の恋路で俺にできる事などたかがしれている。
 だけど天野にとってはこれが初恋なんだろうし……

 何かやってやろうというのが漢ってもんだ!


「ありがとうございます。相沢さんの方が良く知ってらっしゃるでしょうから……」
「俺の知ってる奴なのか?」
「はい、真琴が一度消えた日に会ったんです。考えようによっては『あの子』の導
きかもしれませんね」





 あの日か……たしか天野には名雪に伝言を頼んだんだよな……
 とすると、うちのクラスか……


 ……ってそこで良く知ってる奴って、



        北川しかいないじゃねーか!(男友達が異様に少ない俺(T_T))



「……そうか……」

 返答に詰まる俺。



 傍目からみても天野は可愛い。
 それに家事全般にもある程度長けている。
 将来的には良い奥さんになるだろう。
 それをみすみす北川にやるとは……もったいない。

 *もともとあなたの物ではないでしょうが……(^^;)*

(しかも北川はたしか香里が好きなんだよなぁ)

 どうしたものか……う〜ん……

「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない」
「そうですか」






 と、俺が悩んでいると知った顔が走ってきた。
 
 名雪だ。

「やっと追いついたよ、こんにちは美汐ちゃん♪」

 ちなみに初めは名雪も『天野さん』と呼んでいたのだが、「それも何か他人行儀
ね」と秋子さんが言ったので名前で呼ぶようにしたそうだ。

「はい! こ……こんにちは」

 何故か声が裏返っている。

「どうしたの?」
「いえ、心の準備が……その……何でもないです」
「そう、美汐ちゃん今日うちに来るの?」
「はい、……ご迷惑ですか?」
「そんなわけないじゃない。美汐ちゃんならいつでも大歓迎だよ」
「そうですか……」

 ほっとする天野、なんかいつもと様子が違うな……









 そろそろ家の前にさしかかった時、天野が鞄から何かを出しているのに気がつい
た。
 なにやら深呼吸までしている。

「どうしたんだ?」

 聞いてみると、

「相沢さん……邪魔をしないでくださいね」

 睨まれた……
 
 一体何が始まるんだ?

「な……名雪先輩!」
「なに?美汐ちゃん」
「あの、これ商店街の福引で当たったんですが、良かったらどうぞ」

 そういって差し出したのは、ネコの目覚ましだった。

「わぁ〜ねこさんだ〜。いいの?本当にもらってもいいの?」
「はい、目覚まし時計を集めていると相沢さんに聞きましたから」

 そういえば言ったような気がする。
 しかもネコを選んでくるとは侮れない奴。

「ありがとっ、ホントにうれしいよ、今度なにかお礼するね!」
「それでしたら……」

 遠慮がちにまたなにかを取り出す。

「実は私の目覚まし……録音式なんですが、自分の声で起きるのも寂しいので……
よろしければ何か吹き込んでいただけますか?」
 
 なんで今そんな物を持っているんだ?

「目覚まし?」

 そういえばそのことについても教えたような気がするな。
 でも、どうして天野がそんな物欲しがるんだ?



 しかし、その時俺は自分がとんでもない勘違いをしていたことに気付いた。
 天野は一度も相手が


         『男』


 だとは言っていない!!(SE:落雷)

 まさかな……いや、しかし……



「いけませんか……?」

 悲しそうな声で聞いてくる天野。

「いいよ〜。祐一の10倍心をこめて入れるね♪」

 簡単に引き受ける名雪。
 案外名雪なら天野が告白しても『うん、いいよっ』って答えそうな気がするな。

「ありがとうございます」

 とたんに明るくなる天野。……やはり……

「それじゃあ、後で私の部屋へ行こうね! ついでに私の目覚ましのコレクション
見せてあげるよ」
「はい」


 嬉々として名雪についていく天野を見て、俺は自分の考えが間違っていないとい
うことを確信した……
 どおりで最近よく来るわけだ……

 まあ北川よりは名雪の方が幸せにしてくれそうだしな(笑)

 ……………………



「へっくし! う〜、風邪でもひいたかな?」
「じゃあ近くに寄らないでね、うつるから」
「香里……もしかして俺のこと嫌いなのか……?」
「冗談よ」





 天野が真琴と遊んでいたときに聞いてみた

「なあ、お前のところにきた子ってどんな子だったんだ?」

 答えはこうだった

「元気で明るい……リボンの似合う娘でしたよ」

 そういって彼女が見せたリボンには





         確かに『なゆき』と刺繍がしてあった……







 夕食後、部屋でくつろぎながら隣の真琴に話しかける。

「なあ真琴……」
「う?」
「お前って『普通』じゃないよな」
「なによぅ、祐一だっていつも変なことなばっかりやってるじゃない!」

 膨れる真琴。

 がばっ!

 気がつくと俺は真琴を後ろから抱きしめていた。

「わっ、ゆ……祐一?」
「でも俺は、そんあ『普通』じゃない真琴が好きだぞ」

 本当にそう思う。
 俺はこの放っておいたら何をやらかすか分からない、そんな真琴が好きなんだ。

 さすがにそれを口に出すのは少し照れくさかったが……

「う……うん、真琴も……でも何かあらためて言うのも恥ずかしいよ……」

 どうやら、それは真琴も同じらしかった。



 結局のところ、みんなどこかが『普通』じゃないんだよな……
 まあ、幸せは人それぞれ、か
 天野にはできるだけの協力をしてやろうと心に誓う俺だった。



「なあ真琴……お前にもう1人姉さんが増えることになりそうだ」
「え?」



 結局その日、天野は名雪の部屋に泊まっていった……

 名雪が美汐と付き合い始めたのはそれから数日後の事だ……


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 どうも〜かささと申す者です☆
「始めまして、水瀬(予定)美汐です」
 あの……天野さん?
「水瀬(予定)です。間違えないでください」
 す、すいません……
 えっと、このSSはSTBに投稿した物です。
 特に変更点は無いので読んだ事のある方は飛ばして結構ですよ♪
「それをあとがきに書いてどうするんですか?」
 あっ……(汗)
 まぁ、気にしないでくださいね(笑)
「ご迷惑おかけします」
 一応これからも、この設定で続きを書いていこうと思いますので、
 よろしければお付き合いくださいませ〜
 それでわ☆
「早く書いてくださいね」
 ……善処します……


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